“TOEICで900点とっても英語は話せない”
英語を勉強してるとよく耳にする話題の一つだと思います。
私自身340点だった頃「900点あれば洋画も字幕なしで観れる」くらいの漠然としたイメージでした。
ただ実際にとってみて感じたのは、その漠然としたイメージと実際の英語力とのとてつもない大きなギャップでした。
そんなワケで、今回は“TOEIC900点とっても英語は話せないのか?“、“何ができて何ができないのか?”について書いてみたいと思います。
【関連記事】
900点あっても英語は話せない?
“TOEIC900点とっても英語は話せないのか?”
結論から言えば、私の場合話せませんでした。
TOEICを何度も受けられている中級者の方ならお気づきになるかと思いますが、TOEICは良くも悪くもペーパーテストです。
そもそも3択or4択問題なので、たとえ答えが分からない場合でも持てる知識を総動員することで消去法などで正答率を上げることが出来ます。
正直私が900点取った時も、自信を持って正解だと確信した問題はそんなに多くなかった気がします。
それでもそれまでに約20回ほど受けていた経験値と、徹底したTOEIC対策のおかげである程度の手ごたえはありましたが。
たびたびこのブログ内でご紹介してますが、”当サイトの運営者の自己紹介 - Let me introduce myself. –”にある通り、900点取ってからは「英語を使えるようになる」事を目標に英会話などのアウトプットに重点を置いてトレーニングしてきました。
900点取る前から分かっていたことでしたが、私が当初想像していた「TOEIC900点の英語力」とは違い、実際の英語力は思ったことを英語で表現するには全然足りませんでした。
日本人のTOEIC信仰
何が言いたいかというと、日本では受験英語同様、正確に英語力を測るテストがポピュラーじゃないんじゃないかと感じています。(異論は認める)
そもそも英語を使える人材を求めている企業自体が、英語力を正当に評価するだけの英語力を持ち合わせていないと感じています。(異論はm 以下略)
なので「とりあえずみんなTOEIC使ってるからうちもTOEICで足きりしとけばいいっしょ」的な、「日本人的な良くも悪くも右に倣え」な雰囲気が蔓延しているのだと思います。
それは仕方ないとしても、今の「TOEICで良いスコアないとこの先苦労しますよ!」っていう不安を煽る「TOEICでお金儲け」的な風潮には正直辟易しています。
TOEICはペーパーテストであって、現実に起こる双方向での「英語の運用能力」については何の保障もしてくれないワケですから。
悲しいかなTOEICでAランク取れなくても、某番組の出川さんのようにコミュニケーションはとれちゃったりしますし。
私の高校時代の友達でもTOEIC700点台でネイティブと結婚して、私なんかよりはるかに素晴らしい英語力を持っていたりするわけです。
TOEIC高得点者の悲しい現実
いきなりですが、私がTOEIC講師の中で絶大の信頼をおいていたヒロ前田先生のTwitterで興味深い内容を見つけたので引用します。
多重人格記事の第5回です。https://t.co/SVnmtNhWvR
— ヒロ前田 (@hiromaeda) 2017年12月6日
紹介されている記事は「TOEICお悩み相談室」というヒロ前田先生がTOEICに関する悩み相談に答える連載なんですが、非常に示唆に富んだ内容だと思います。
日本人の「TOEIC万能説」を過信している現状を端的に表している興味深い内容だと思いますので、興味ある方はぜひ一度ご覧になってみてください。
以下はある回の悩み相談からの引用です。
860点を目指して1年ほど対策した結果、865点を取れましたが、英語でのコミュニケーションはできません。がっかりです。
――会社員(30代)/TOEICスコア 865点
ヒロ前田の回答:
何がしたいんですか。
マジで痛快ですw
誤解のないように補足しますが、この連載は「天使と悪魔のようにヒロ前田先生が辛口と甘口、両方からアドバイスする」という趣旨です。
冒頭は思いっきりバッサリ辛口で批評してますね。笑
もしかするとあなたは、860点を取ることが高度な英語コミュニケーション力を持っている証明になると思ったのでしょうか。
確かに、TOEICの実施団体が発表しているPROFICIENCY SCALEと呼ばれる相関関係表によれば、860点以上のAレベルの評価は「Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる」となっています。
もし、それを根拠に「860点を取れば、英語で十分なコミュニケーションができる人になれる」とあなたが思っていたのであれば、視野が狭いとしか言えません。
再度辛口アドバイスからの引用ですが、これ個人的にもっとみんな知っておくべきことだと思うんですよね。
理想としていた英語力と、実際の900点取得者の実力とのギャップに大いにがっかりさせられた私としては、この質問者さんの気持ちが痛いほどよく分かります。
その反面、ヒロ前田先生が言っている”視野が狭い“ということも今ならよく分かります。
このミスマッチングの原因の一つが、『860点以上のAレベルの評価は「Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる」』っていう表現だと思います。
私自身”十分なコミュニケーション”っていう部分を、”ネイティブ同様にコミュニケーションできる”という風に脳内で変換していました。
ただ残念ながら、それは間違いです。
感覚としてはAランクもしくはリスニング、リーディング共に400点越えたあたりからやっと「英語中級者=”英語を学ぶ”から”英語で学ぶ”」へ、シフトチェンジしていく時期なのだと感じています。
900点でできたこと、できなかったこと
私の場合900点取ったときに何ができたか振り返ってみるとかなり限定的なことしかできなかった印象です。
あくまで私の場合なので他の人はもっといろいろできることも大いにありえます。
もちろん得意不得意にも当然個人差があるので異論は大歓迎です。
ただ私のStudyplusの900点ホルダーのお友達のみなさんで自身の英語力に満足されている方は皆無です。(そこにシビれる!あこがれるゥ!)
【関連記事】
できたこと
- オンライン英会話での簡単な英語での自己紹介
- NHKラジオ英会話での脳内ディクテーション
- 英語プレゼンのスクリプト(英文原稿)を和文原稿なしで書く
ざっと思い返してみるとこんな感じです。
1.オンライン英会話での簡単な英語での自己紹介
当然、簡単な自己紹介くらいはできるようになります。笑
ただ、これはDMM英会話などのオンライン英会話で繰り返しレッスンした成果とも言えます。
オンライン英会話はそれこそたくさん先生がいるので、初めての先生とは毎回お互いの自己紹介をするので、慣れるのは当然といえば当然です。
ただ、残念ながら自己紹介から話を膨らませられるかどうかは考慮していません。笑
理想は英会話の授業ということに関係なくフリートークで文化の違いや共通点についてディスカッションできればいいのですが、やっぱりそこらへんは日本の文化を英語で説明できる英語力や教養が必要ですし、それらはTOEICでは身につけづらいと思います。
2. NHKラジオ英会話での脳内ディクテーション
これはNHKで放送している長寿番組ラジオ英会話のダイアログをスクリプトなしで、番組聞きながら脳内でディクテーションすることです。
一時熱心に聴いていましたが、ラジオ英会話はTOEIC慣れした当時の私にとってとても楽しいプログラムでした。
TOEICのリスニングパートと違って、ダイアログのテーマは現代版のロミオ&ジュリエットや家庭での家族とのやりとりなど様々で純粋に聞いてて面白いです。
何よりパーソナリティの3人のハイテンションにニヤニヤしながら聞いていた記憶があります。
15分の番組内でダイアログは何回か再生されるのですが、それを脳内でディクテーションして、スタディプラスのログに記録するっていうトレーニングをしていました。
レベル的にそんなに難しくないですし、再生スピードもゆっくりだったりするので、比較的聴き取りやすいと思います。
何より漠然と聞くより、集中して聞くので集中力を養うのにも効果的でしたし、15分という時間で区切ってあるので取り組みやすいトレーニングでした。
【関連記事】
3. 英語プレゼンのスクリプト(英文原稿)を和文原稿なしで書く
これは自分の中で驚きの一つでしたが、英語でのプレゼンテーションのスクリプトを英語でそのまま書けたという事です。
“【フィリピン・セブ留学】Brightureをオススメする7つの理由!“という記事で書きましたが、私は2回(計3週間)フィリピン留学したことがあります。
その際毎週、英語のプレゼンテーションをしたのですが、当然スクリプトを英語で書いていました。
やってみる前は、「たぶん日本語の原稿ないと無理だろうなー。」と思っていましたが、やってみると意外とすんなり書けたので自分でびっくりした記憶があります。
もちろん辞書は使いまくりですし、文法や語彙の間違いは先生に添削してもらいましたが、英会話と違って「自分の思っていることを一方的に書く」という作業自体はそれほど苦にはなりませんでした。(簡単とは言ってない)
ただ当然今までインプットしたことしかアウトプットできないので、難しい表現や色彩豊かな描写なんてのは度外していましたが(^_^;)
できなかったこと
上記以外全部です。爆
残念ながら「映画を字幕なしで理解できる」なんてのは夢のまた夢だと痛感しました。笑
ただそれが普通なんだと思います。
正直、TOEICを卒業して多読を始めるまで、”shrug(肩をすくめる)”や”grin(にやっと笑う)”の意味すら知りませんでした。
これらの表現はネイティブの児童書にめっちゃ出てきます。
別にこれらの単語を知らない事をどうのこうの言いたいわけではなく、ネイティブの子供たちが当たり前に知っている単語の多くはTOEICには出てこないワケです。
なので、誤解を恐れずに言えば「TOEICが限定的な試験」という事がわかるかと思います。
TOEICの向こう側の大海原
もちろんTOEICで勉強した事も実際に役に立つ場面はいくらでもあります。現に英文メールの書き方なんかはほぼTOEICで覚えましたし。
なにが言いたいか自分でもよく分からなくなってきましたが、TOEIC以外の英語の世界のほうが圧倒的に広いって事ですね。(当たり前)
先ほどもいいましたが、TOEICの出題範囲は限られています。
英検のほうが多岐に渡っています。
いうなればTOEICという世界は、狭い入り江であって、そこから広がる外洋の方が計り知れないほど広いわけです。
時に嵐に見舞われながら、行く先々の港での出会いや新たな風景を心の糧にTOEICの先のはるか長い航海を楽しんでいこうと、自分自身に言い聞かせながら今も学習しています。笑
まとめ
今回は“TOEICで900点取っても英語を話せないのか?”というテーマで書いてみましたがいかがでしたか?
今の日本におけるTOEICを取り巻く環境は、「TOEICで高得点ならネイティブと楽しく話せますよ☆」って言ってるようで(誰もそんなこと言ってないですが)、人間性が捻じ曲がってる私としてはちょっと思うことがあったので今回記事にした次第です(^_^;)
なんかアンチTOEICみたいな内容になってしまいましたが、TOEICの学習を通して英語力の基礎を築いた私としてはTOEICをきっかけに英語を勉強を始めるのは大いに賛成です。
定期的に受けることで実力を測れますし、なにより点数を上げたいという気持ちは英語学習のモチベーションとしては非常に大きいと実感しています。
ただ、ヒロ前田先生や他の英語上級者の方々が仰っているように“英語を使ってコミュニケーションする”ということとは全く別の能力であるという事を知っておくと、先の質問者さんのように自分のTOEICのスコアと真の英語力とのギャップに苦しまないですむんじゃないかと思います。
Learning English is a long journey. Sometimes I get really exhausted. But I’ve already known how interesting it is.
That’s why, I am learning English.